
早々と優勝を決めた我らが阪神タイガースだが、優勝が決まった後、特に最近は不甲斐ない試合が続いている。CSから日本シリーズを見越した主力の休養であったり、若手を試したりベテランには最後のチャンスを与えたりと、最強の布陣でないこともあるが、少し残念である。
例えば先日(2025.9.23)では、2回表の攻撃で、苦手としてきた左腕ケイから無死一、三塁のチャンスを作るも、特にスクイズなどの作戦もないまま無得点に終わっているが、CSや日本シリーズに向けた想定で何かやっておくことも必要だったのではないか。
延長10回の1死一塁(ランナーは中野拓夢)では、植田海がバントを決められずに追い込まれ、結局はフルカウントから三振ゲッツーという最悪の事態に。さらに次の11回表も同じ1死一塁からも、代走熊谷敬宥と代打の小野寺暖で三振ゲッツーだった。
みな足も速く、小業も利きそうなメンバーであるが、何かできることは無かったのか。選手も不甲斐ないが藤川球児監督も、何か考えがあってのことかもしれないが、もう少し動きがあってもよかったかもしれない。こういう場合は、常に「選手が悪い」だけでなく「使った監督が悪い」とも言える。
ただ、危惧するのは「主力と控えの選手に差がある」ように見えることだ。それは走攻守の能力的なものだけでなく、野球脳とも言われる「次のプレイを考える力」にも差があるように見受けられる。
打撃であれば、例えば無死一塁二塁の場面、できれば右方向に打って進塁打を打つことを念頭にすることはもちろん、それを踏まえた上でボールカウントや守備位置、走者のリードなどを見極め、内角に来た場合はファールで逃げ、外角の場合は右へおっつける。
もちろん、これは右打者の場合で、左打者の場合はまた違う。とはいえ、「ボールに手を出すな」と一緒で「それができれば苦労はしない」というやつだろうが、やはり前もって考えておくことでプレイに差は現れるはずだ。
守備などは特にシミュレーションが必要である。例えば無死3塁でもう1点もやれないという場面。それはサヨナラでもいいし、勝ち越しになる上、こちらのブルペンが不安な場合とか。そこでライトに大きなファールフライが飛んだ場合、これは取らない方が良い。
こういうことを、前もって想定して考えておかないといけない。それをしていなかった(又はできなかった)と思われるシーンが(2025.9.22)のヤクルト戦、2点リードの5回裏、無死一、三塁と言う場面で出てしまった。
最多勝のかかるピッチャー才木は打者岩田を打ち取り、一塁ゴロに。打球は速く、3塁ランナーはほぼ動いておらず、特に牽制しなくともランナーを釘付けした上で1塁を踏んでワンアウトを取れるシーン。
にもかかわらず、一塁手の糸原は一塁を踏もうともせず、ホームへ投げてしまい、しかもそれが悪送球となる。1点入って無死二、三塁という最悪の状況。その後才木は次の打者を三振に仕留めるが、次の打者に犠牲フライを打たれて同点となってしまった。
最多勝を狙う才木にとっては、勝ち投手の権利を手中に収める直前での悪夢となった。糸原は先日も三塁を守っているシーンで同じように三塁を踏まず、ホームへ送球してゲッツーを取れなかったということもあり、守備の野球脳又は技術が足りないように見受けられる。
しかし、これは糸原を使った監督の責任でもある。日本一を目指すことや来年度の構想などチーム事情があることも分かるが、最多勝のかかっている試合であることもあって、もう少し勝ちにこだわる必要もあったのではないか。
チームの日本一が最高目標であったとして、優勝後の試合は調整のために費やすのも理解できるが、一方で佐藤輝のHRや才木の最多勝など贔屓の選手のタイトル獲得を見たいというファンも多いと思う。私もそうだ。
ただ、若手ならまだしも、ベテラン糸原であることから、これは選手の責任の方が重いという気もする。糸原は7,000万という高い年俸もネックであり、おそらく今オフは戦力外通告を受けそうだ。
優勝後は結構使われているが、このようなプレイも続いており、力を誇示するどころか「最後の思い出づくり」のように見えてしまう。ならば、若手を使ってほしいのだが…
最後に、本当に一昨日の無死一、三塁からの一塁踏まずホームへの悪送球というプレイは酷かった。久しぶりに声が出た。私が死ぬまでに阪神タイガースの連覇を是非見たい。そのためには来年を見据え、若手を発掘してほしい。