マスクを筆頭に、コロナ禍において売上を伸ばした商品はいくつかあるが、クレベリンもそのひとつである。「置くだけで空間に浮遊するウイルス・菌を除去する」との謳い文句により、コロナ禍で敏感になった者が増えたこともあり大ヒットした。
販売元の大幸薬品は2020年の連結決算において、売上高が前期比43.6%増の149億円、純利益が73.3%増の24億円といずれも過去最高になったと発表したというから、それだけ売れたということだろう。
しかし、普通に考えてそんなものでコロナを始めとするウイルスが除去できる訳はなく、私などは端から信用していなかったので、いったい誰がこんなもん買ってるんやろうと思っていた。
ところが(数年前のコロナ禍のとき)、何と目の前で仕事をしている同僚の女性(同年代のアラフィフ)が、クレベリンスティックという身に着けることのできるクレベリンを首に掛けており、よく見ると机にも卓上用のクレベリンが置いてあるのに気づいた。
思わず、「それクレベリンでしょ。そんなん効く訳ないんちゃうの?」と言ってしまった。今なら(当時もか?)なんとかハラスメントになりそうな失言である。
しかし、言われた当人もしれっとしたもので、「まあ、お守り代わりやね。」と不快な様子も無く返してくれた。なるほど、そういうものか。と妙に納得した一方(高いお守りやな)とも思った。(卓上型1,500円、スティック500円程度)
そもそもクレベリンは医薬品ではなく雑貨なので、それこそお守りにしかならなくて然るべきであるが、「置くだけで空間に浮遊するウイルス・菌を除去する」という宣伝も相まって、医薬品並みの効果を期待して購入した人も多かったと思われる。
ただ、ウイルスを除去することを効能・効果として明示とする場合は、医薬品・医薬部外品の承認が必要なところ、クレベリンは承認を得ることができておらず、薬機法(日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいた品質・有効性・安全性は確認されていない。
にもかかわらず、同様の効果が得られると誤認させるような表示をしていることから、消費者庁から景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして措置命令を受けることになった。
措置命令の影響から、クレベリンは売上が減少し、返品などもあったため、2022年1月~3月期の決算では約17億円の赤字を計上することになった。
私ならそもそも買わないのだが、宣伝内容を信じて買う人もおり、さらにはお守りがわりに買う人もいるようで、こういう事例は他にもたくさん起こりそうな気配がする。
古くはマイナスイオンもそうだし、今ではリライブにその匂いを感じる。リライブシャツα(αのつくやつ。ついてないのは認定されていない模様)は医療機器の認定は受けているらしいが、ぶっちゃけあれで肩こりとバイバイできるとは思わない。
こちらもお守り代わりに買うのは結構だが、1万円はちと高価で、費用対効果を考えると我々貧乏人には手が届かない。ただ、お守りやお祓いと比べると大差ないかという気もする。
ちなみに、私は厄年などもお祓いもしなかったし、お守りも買ったことはない。神様クラスになると、そんなことしなくてもタダで私を守ってくれるでしょと思っている。
