日暮れて道遠し

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逃げ馬とは何か?それはシルポートのことだ。


最強の逃げ馬ランキングなんていうのを見てみると、サイレンススズカやキタサンブラックミホノブルボンというあたりの名前が上位に来る。もちろん、異論はないのだが、私が思う「最強の逃げ馬」はむしろ、そのランキングの少し下のほうに名前がある、ツインターボメジロパーマーという馬のほうがしっくりくる。

何故かというと、サイレンススズカキタサンブラックというのは、最強の逃げ馬というよりも、もはや単なる「最強馬」という意識が強いし、どちらも逃げ無きゃ勝てないという訳でなく、スピードや能力が違いすぎて逃げる形になっているだけだし、紛れのないように敢えて逃げているだけであって、逃げなくても勝てるほど基本的には強い。

「最強の逃げ馬」というからには、逃げなきゃ勝てない、逃げるしかない、そういったある種狂気を含んだ「逃げなきゃどうにもならん。」という馬でなくてはいけない。それがツインターボであってメジロパーマーなのだ。

しかし、ツインターボ七夕賞オールカマーを連勝して秋の天皇賞で3番人気(逃げバテてビリ)になった時はまるで本物になりかけたし、メジロパーマー有馬記念宝塚記念という両グランプリを勝っている本物の名馬だ。

そこまで本気で強くなると、もう逃げ馬の狂気や儚さは半減してしまう。やっぱり逃げ馬とは、極端な戦法、華やかな勝ちと無惨な負け、そしてやはりそこに狂気と儚さが同居してなければいけない。「強すぎて王者になってはいけないのだ。」これはM-1で決勝に行かない(行けない?)トムブラウンと同じこと。

じゃあ、「最強の逃げ馬」は何か?と言われれば私は「シルポート!」と答えるであろう。シルポート、2008年にデビューしたホワイトマズル産駒。ホワイトマズルは、天皇賞春を勝ったイングランディーレオークスを勝ったスマイルトゥモロー、菊花賞アサクサキングスなどを輩出している。

初期の産駒ビハインドザマスクは短距離の追い込み馬だったが、その後には、イングランディーレシャドウゲイト、アサクサキングスなど逃げ〜先行で良績を残した長距離馬を出しており、この極端さと狂気はシルポートにも受け継がれたようだ。

ちなみに「シルポート」の名前は、中国・上海にある「上海旭宝(シルポートゴルフクラブ」から来ているらしい。これは馬主の会社とかではなく、単に馬主がゴルフ好きというところからきているようだ。香港競馬での表記は「國際高球」だとか。変なの。

初戦の芝で3着、そこからダートを3戦して5,8,4着。芝に戻して2戦目(都合6戦目)にようやく勝利する。なお、以降は引退まで全て芝で走った。その後9戦して3勝、準オープンクラスまで駆け上げる。ここまで15戦4勝というから、やっぱり強い。

このあたりで完全に逃げ馬になっており、準オープンでは逃げて4連続二けた着順と、既にシルポートの片鱗を見せている。そこから3戦して勝ち上がり、オープン馬となって初めて重賞に挑戦する。のちに連覇するマイラーズCだが、この初挑戦では12着に大敗する。

このあたりで私の注目馬になったのだが、本当に勉強になった。こマイラーズCの後、OP、OP、G3と3戦して1着、2着、2着となるのだが、ここで私はシルポートにまんまとハメられる。

まずはマイラーズCで12着に大敗した後のオープン、都大路Sだが、ここは脚質や馬の性格から、前走の大敗は無視していもいいはずなのに、やはり負けすぎている事が気になり、私は消した。するとまんまと逃げきり1着となる。

続くメイS(OP)とエプソムC(G3)では、いわゆる単穴(▲)扱いとして、くるなら1着、こないなら着外として3連単フォーメーションを組んだら、どっちも2着となる。買いにくい…

今は単なる3番手の印という印象だが、昔は▲単穴といえば、本命をも負かすことのできる爆発力はあるが、ハマらなければ掲示板にも載らない。という馬を表し、極端な逃げ馬や追い込み馬に印がつくことが多かった。

それをシルポートに当てはめたら連続2着である。ただ、よく考えたら、逃げ粘って2着、差して届かずの2着なんて実は想定しとかないといけない。この頃のシルポートのお陰で、これは身に着いた。極端なレースをする馬でも2~3着はあると。1着を狙いに行って2着もあると。

その後はG1で逃げては注目され、ファイナルS金杯という年の終わりと初めのレースを連勝したり、マイラーズC(G2)を連覇したり、目立つ勝ち方をする華やかな馬だった。鞍上が小牧太だったというがまたいい。あくまで王道ではないのだ。

私にとって「最強の逃げ馬」はやはりシルポートで決まり。馬券でおいしい思いは全くさせてもらえなかったけど…